誰得? 障害者手帳所持職員の雇用継続を拒否する障害者施設
障害者手帳を所持している職員の雇用継続を拒否する障害者施設・法人があります。
障害者の方々の支援をする職員や法人として、障害者の支援をするけれども、障害者手帳を持っている方々とは労働者として、同僚として一緒に働きたくないという矛盾をはらんだ強い意思を感じます。
世間一般では障害者の方々の雇用は進みつつあります。障害者手帳を持っている方々対象の障害者求人も広がりつつあります。様々な法制度も整備されつつあります。
私が知りうるだけでも障害者支援をする2つの法人が障害者手帳を持っている方は
職員として雇用しないことを明らかにしています。
1つの法人は結局は不正請求で取り消し、閉鎖になりました。精神疾患をオープンにし、正社員として雇用されていた職員は、サービス管理責任者から「障害者手帳を持っていますか」と質問されて、正直に「障害者手帳を持っています」と答えたところ、障害者手帳を持っている人は職員としては雇えないと言われ、代表者から「利用者になれ」といわれたので、呆れて自己都合で自ら退職したそうです。(結局取り消し、閉鎖になったので、その前に脱出できてよかったようですが 仮にAさんとします。)
また、別の障害者支援をする法人では、精神疾患を明らかにして働いている職員が、障害者手帳を取ったことは死んでも内密にしているそうです。障害者手帳を持っていることが法人にわかると解雇される可能性が高いからだそうです。その方は、正社員どころか幹部の1人です。
本来障害者の方々の支援者は、障害者の一番の理解者、障害者の権利擁護をする立場にあるはずです。利用者としての障害者に対しては理解し、権利擁護はするのかもですが、障害者手帳を持つ障害者と一緒に労働者として働くことは拒否することは理解に苦しみます。
障害者の支援はするけれども、障害者手帳を持っている方とは同僚になりたくないといった障害者施設があるのが事実です。正直なところ、なぜ拒否するのかどういった心理なのかわからないですが。
障害者の就労の問題は、とても大切な問題です。本来、障害者の就労を進めていく立場である支援者が、同僚になるのは拒否する。どうやって障害者の就労を進めていくのでしょうか。
他の会社には障害者を雇ってくださいといっておきながら、私は同僚になるのは嫌ですということでしょうか。
また、いわゆる健常者といわれる方でも、正社員として働いていても、精神疾患になることや身体的な障害を受ける可能性は十分にあります。結果、障害者手帳をもつ障害者が同僚になることを拒否する障害者施設は、そのような職員を拒否するのでしょうか。
しかし、方や、北海道の浦河べてるの家は、精神疾患を明らかにし、障害者手帳を持っている方を職員、サービス管理責任者として雇用しています。また浦河べてるの家以外にもそのような施設、法人はあると聞いています。
浦河べてるの家のHPはこちらです。
浦河べてるの家では、昔から精神疾患の当事者の方が施設長を勤めてきました。現在の理事長も精神疾患の当事者です。当事者主体を昔からうたっています。
浦河べてるの家では10年以上も前から学力のある大学を卒業している当事者の方を中心に、社会福祉士や精神保健福祉士の国家資格を取得することを勧めていたそうです。
先進的に障害者支援を取り組む 法人は浦河べてるの家を始め、いくつもありますが、まだまだ、支援者の中には、差別といわれても仕方ない態度をとるような方もいるのは事実です。
また、北海道では、HIVの当事者の方の内定が取り消され裁判になり、HIV当事者の原告が勝訴したということもあります。
こちらも社会福祉法人ですね。差別を助長してどうするのか、そもそも、持病があるかどうか採用面接で聞くことに問題があります。
障害者支援をしているのに、同僚として障害者手帳を所持している方を拒否することはなんら得なことはありません。
障害者支援をしている方々は支援者自らの態度として、同僚として障害者手帳を持っている方を歓迎していただきたいです。
そして、支援者同士学んでいただきたいと思います。おそらく同僚として拒否する支援者は、障害者から学ぶことはない、支援者が障害者を教えるのだという昔ながらの凝り固まった古い思想を持っているのでしょう。
利用者さんから学ぶことは過去に書きました。
最初に登場したAさんの転職の物語は、東洋経済オンラインに掲載されていました。
障害者福祉では、障害者手帳を持っている方を同僚として拒否する以外にも色々問題があるようで、詳しく上記の記事では掲載されています。
関西当事者研究交流集会では、ある精神疾患の当事者の方が、精神保健福祉士取得のために通信制の大学に行きますと公表されていました。国家資格と取得し、ソーシャルワーカーとして当事者の方が活躍するのも同僚として受け入れていく一つの方法なのかもしれません。
2000字をこえましたので第11回目を終わります。