ねこローグ

ねこローグとはねこのダイアローグの略です。飼いねこの椛(もみじ)のことや自分自身やどんな方をも大切にできる良質なダイアローグ(対話)を記します。

ネットワークと補完 ① 利用者さんから学ぶ

「利用者さんから学ぶ」・・・ということは障害者支援の分野の支援者にとっては、必要なことだと思います。

 

 利用者さんは教えられる人、支援者は教える人ではありません。支援者、利用者さんは、互いに学び、互いに支えられ、互いに成長していきます。

 

 支援者は、利用者さんに対して、上から目線で、管理したり、一方的に教えたりするものではありません。これらは、「パターナーイズム」(また別の機会に書きたいと思います)といい、昔の障害者支援に関わる方々は、まさにそのようなことをしている方が多かったです。

 

 しかし、時代は変わり、厚生労働省でも「当事者主体」、「当事者主権」で施設を運営しなさいと言われます。あくまでも施設の中心は「利用者さん」であることを言われます。

 

 利用者さん主体の施設運営のためには、利用者さんの意思が十分に反映される施設運営が求められます。そこで必要なことは、「利用者さんから学ぶ」ということです。

 

  この「利用者さんから学ぶ」ということは、元々は、アルコールなどの依存症の方々の支援に関わる病院の医師が言われていたものらしいです。依存症の当事者の方々から学んで、支援していることが大切だといわれていたそうです。

 

  

www.kouryu-center.org

上記HPより引用しますが、

 『どんなことから失敗してどんなことをして回復したか、どうやってコントロールしているかは、当事者の話を聞き“経験から学ぶ”これがアディクションの回復の基本”と教えて頂きました。
 また、援助者側にも共依存という言葉を通して「どんなに依存症の人間関係が、地獄で大変かを分からなくて、臨床経験も少なく、単にシステムだけで考え、患者さんに敬意を払えないような未熟な援助者には“共依存”という言葉を使って欲しくない」と厳しくも温かいメッセージを頂き、本当にそうだなと初心に返りました。』

 

 とあります。

どんなことから失敗してどんなことをして回復したか、』『利用者さんの話を聞き、経験から学ぶ』とあり、利用者さんが利用者さん自身を助けることができるのは自分自身だけだということか始まっていると考えられます。

 

 過去記事として、他の支援者のつながりから学ぶことを書きましたが、基本は「利用者さんから学ぶ」ということだと思います。

 

 他の支援者とのつながりは過去の記事です。

  

nekologue.hatenablog.com

  

社会福祉士精神保健福祉士ソーシャルワーカーのなかには、すべての分野を網羅していて、どんなことでもこたえることができる人もいるのでしょうが、私は少なくともそうではありません。むしろ、様々な分野の知人、友人がいることで自分自身の知識を補っています。」

とあるように、他の支援者とのつながりから補完をしますが、まずは「利用者さん(の経験)から学ぶ」ということだと思います。

 

 利用者さん自身がどのように自分の障害とつきあってきたか、自分自身を助けてきたか、そのような経験がとても大切なことだ考えます。その助け方を学びながら、自分自身のよりよい助け方を発見する手助けをすることが支援者のあり方の一つではないかと考えます。

 

 障害福祉の歴史の中で、以前は利用者さんが事業所の利用は、「措置」でした。行政があなたにはこのようなサービスが必要ですと決めて、「措置」として提供するという一方的なものでした。しかし、今は利用者さんがサービスを選び、事業所と「契約」するという形になっています。

 

 ちなみに、利用者さんと事業所の契約書は非常に細かく、分厚く、とてもじゃないですが、利用者さんが理解して読み込めるようなものではないと思います。契約なので重要な事項は落とせないのはわかるのですが、利用者さんの立場に立ったときに、この契約のあり方は、考慮すべきものだと考えます。

 

 今日、この記事を書いている日は、関西当事者研究交流集会が大阪大学豊中キャンパスで開催されます。

cocopit.net

  当事者研究についてはまた後日書く予定ですが、これは自分自身の助け方を仲間と一緒にわいわいと研究して開発していくものです。

 

 私自身は、依存症回復施設のサービス管理責任者だったときに、利用者さん(以下 クライアントさん)と一緒に当事者研究をしていました。

 依存に陥ったメカニズムや依存症への対処方法など、文書や図に一緒に表していくお手伝いをしていました。

 

 当事者研究も利用者さんから学ぶ、利用者さんの経験を尊重する一つの方法だと思います。

 

 当事者研究は全国大会が北海道の浦河と他の場所1年おきに開催されています。2019年は北海道の浦河町でしたが、2020年は福岡・佐賀で開催される予定です。また2020年の大会の詳細が決まり次第、書きたいと思います。

 

 当事者研究関西大会でも、自分自身の苦労を研究発表という形で発表される方が何人もおられます。各地の精神科病院や施設でも当事者研究が広がっていますので、参加してみてください。

 

 2000字をこえましたので 第 9回目を終わります。