ねこローグ

ねこローグとはねこのダイアローグの略です。飼いねこの椛(もみじ)のことや自分自身やどんな方をも大切にできる良質なダイアローグ(対話)を記します。

当事者研究と障害者施設

  当事者研究は障害者福祉に大きな変化をもたらしつつあります。

 

 一昔前は、支援者(指導者?)が、一方的に解決策を与える(ほどこしをする)のが

福祉だったように思います。しかし、当事者研究は、自分自身の苦労を仲間と一緒にシェアして、対策を考えていくことに醍醐味があります。

 

 当事者が当事者研究を通じて仲間とつながる中で、支援者を凌駕するような対応策(自分自身の助け方)を発見し、身につけていくことができます。

 

 当事者研究については,下記に記してあります。

 

nekologue.hatenablog.com

 

 以前、障害者手帳を持っている職員を職員として雇用継続を拒否する障害者施設のことを書きました。

 

  

nekologue.hatenablog.com

 

 障害者の方々を支援するのは手帳を持っている障害者には無理だという決めつけがあるのだと思います。

 

 そのような考えに陥る支援者?は何者なんだろうと思います。いわゆる健常者といわれる支援者は万能な神様なのかなと。

 

 そのような凝り固まった上から目線の支援者?の考えを変えることができるのも当事者研究ではないかと思います。

 

 上から目線の支援者のあり方を批判するよりも、当事者が力をつけていくことが大切だと考えます。

 

 当事者研究は当事者に安心感をもたらすのだと考えます。つながり・・つながっていることの安心感、なかまと共に自分で自分の回復を助けることができたという達成感などを生み出すのだと考えます。

 

 現在の障害者福祉はともすれば就労へ導くことを主眼としていますが、本来は、まずは孤立、孤独に陥っている障害者の方々が、つながり、依存先が増え、自らの役割を見出すことが大切であると考えます。つながりや依存先が増えた先が就労なのでしょう。

 

 実際に一般就労には向いていない精神疾患の程度の障害者の方々もおられると思います。例えば統合失調症の方でも障害者施設で施設長やサービス管理責任者をされている方や支援員をされている方もいますし、方や就労ではなく、憩いの場で日中を過ごすことでメンタルの安定を図られている方々もおられます。

 

 統計があるかどうかはわかりませんが、精神疾患の方の喫煙率は高いように思います。喫煙をすることで、精神疾患の症状が安定しているとも思われます。もちろん、精神疾患になる前から喫煙の習慣がない方もおられますので人それぞれだと思いますが。

 

 当事者研究を取り入れている障害者施設は年々増えています。当事者研究ファシリテーター(司会)をするために特にこれといった資格はありません。むしろ、とにかくやってみようというのが当事者研究のあり方ともいえます。

 

 私自身も以前働いた依存症回復施設で、利用者さん(クライアントさん)と一緒に一対一で当事者研究をしていたことがあります。だいたいですが、1週間に1回程度、依存症になる前からなった後、そして今の現状において、苦労をシェアしていました。

 

 その内容は、人間関係の苦労、服薬の苦労、内科的疾患の病気の苦労、依存をやめることができない苦労等々ありました。どんな対処法をしてきたのか、どんな対処法があるか、多くはクライアントさんが解決をもっていました。私はそれを聞いて、図にして、パワーポイントに作って、次回また示すようなことでした。

 

 また、別の障害者施設では、当事者研究に至る前段階として、利用者さんミーティングの開催をしていました。それは、気分と体調とよかったこと、苦労していることを利用者さんも職員も分かち合っていました。

 

 その障害者施設は、犯罪、服役経験もある利用者さんもおられましたが、おおむね利用者さんミーティングは好意的に受け取っていただいていたようでした。

 

 当事者研究をいきなり開催するのではなく、利用者さんミーティングから開催する方法もあります。

 

 ある障害者施設では、他の利用者さんの悪口が気になるという訴えをされる利用者さんがおられました。他の職員等に聞いてみても、悪口を言っていることはなさそうでした。そこで、私は、悪口を言われていることを事実として傾聴し、一緒に研究しませんかと提案しました。そして、一緒に研究し、その利用者さんは、悪口を言われたと感じたときには、あるサインを出すということを試してみますと自ら言われました。そこで、実際にサインを試したり、また別の方法を考えたりされていました。

 

 悪口を言う方に文句を言う、けんかになるという方向より、悪口を言われたと感じる自分自身の対処法をみつけていくということができるのは、 当事者研究の方向性だと思います。

 

 そのように、問題の解決法は、職員が持っているときよりも利用者さん本人や仲間が持っていること機会が多かったように思います。

 

 職員は問題の仲裁役になるというよりも、むしろ利用者さんが問題を自ら対処していけるように勇気づける、力づける役割なのだと思います。

 

 2000字を超えましたので、 第13回目を終わりたいと思います。